短い怖い話10選
――1話30秒、でも今夜思い出す
留守番電話、二段ベッド、理科室の鏡。
どこにでもある日常が、最後の一行で裏返る。学校の休み時間に話せる長さの、書き下ろし短編10話です。
① 1話ずつ、ゆっくり読む → ② ゾクッとしたら「▼ 解説を見る」 → ③ 気に入った話は、今夜誰かに話してみる。
※すべて創作です。それでも夜のトイレは、少しだけ早歩きになります。
1話30秒の短編10話休み時間に1話、寝る前に1話
第1話「留守番電話」
一人暮らしを始めた日、母から留守電が入っていた。「ちゃんとご飯食べてる?」
懐かしくて保存した。次の日も、その次の日も同じ留守電が入る。
今日、気づいた。着信履歴が、一度もないことに。
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着信なしに留守電だけが増えていく。誰が、どこから吹き込んでいるのか――「見守られている」の一番怖い形です。
第2話「二段ベッド」
弟と二段ベッドで寝ている。下の弟が毎晩「上、うるさい」と言う。
ごめんごめん、と謝っていたが、今夜も言われたので言い返した。
「今日は俺、下で寝てるだろ」
弟は上を見たまま、動かなくなった。
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二人とも下にいるなら、上で音を立てているのは誰? 王道の「じゃあ、あれは誰」型です。
第3話「順番」
学校の怪談。「理科室の鏡を夜中に見ると、後ろに知らない人が映る」
くだらないと思って、放課後にこっそり試した。何も映らなかった。
ほっとして帰ろうとしたら、鏡の中の自分が、まだ鏡を見ていた。
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「知らない人」ではなく自分側が異常になるパターン。振り向けないまま、話が終わります。
第4話「省エネ」
うちの会社はエレベーターが遅い。イライラして「遅いんだよ」とつぶやいたら、
隣のおじさんが「間引き運転だからね」と笑った。
受付で聞いた。「このビル、エレベーター1基だけですよね?」
「はい、今日は朝から点検で止めてますが」
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止まっているエレベーターに、さっきまで乗っていた。では隣のおじさんと乗ったあの箱は――。
第5話「相席」
ファミレスで勉強していたら、店員さんが水を2つ置いていった。
「1人ですけど」と言うと、店員さんは首をかしげて
「あら、ごめんなさい」と1つ下げた。
そして向かいの席に「失礼しました」と頭を下げた。
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店員には見えている相席の相手。水を下げたのに、挨拶はしていく律儀さがじわじわ来ます。
第6話「パスワード」
亡くなった父のパソコンを開こうとしたが、パスワードが分からない。
母の誕生日、僕の誕生日、ダメだった。
ふと思いついて「自分の命日」を数字で入れてみた。
開いた。……父が亡くなったのは、先週なのに。
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いつ設定したのか、を考えると背筋が冷える。父は「知っていた」のです。
第7話「あいさつ」
引っ越してきた日、隣の部屋に挨拶に行った。誰も出なかった。
大家さんに聞くと「隣は10年空き部屋ですよ」とのこと。よくある話だ。
怖いのはここから。今朝、ドアの前に置き手紙があった。
「こちらこそ、これからよろしくお願いします」
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「空き部屋オチ」で終わると見せかけて、向こうから挨拶が返ってくる二段構えです。
第8話「写真うつり」
家族旅行の写真を現像したら、全部に同じ女の人が写り込んでいた。
母に見せると、母は笑った。
「やだ、お母さんじゃない」
その通りだった。母は、その旅行に来ていない。
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「お母さんじゃない(=私でしょ)」という日本語が、最後に反転する言葉のトリックです。
第9話「非常口」
残業中、ビルの非常口の緑のランプがチカチカしていた。
総務に伝えると「すぐ替えます」と言われた。
翌日、総務から電話が来た。
「あの非常口、うちのビルには無いんですが……どこで見ました?」
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毎日見ていたあの緑の人は、どこへ避難させようとしていたのか。日常の記号が牙をむきます。
第10話「最終話・読者テスト」
ここまで読んだあなたに、最後の短い話を。
この記事には、10話のうち1話だけ「実話」が混ざっています。
――どれだと思いましたか?
いま思い浮かべたその話が、あなたの心が一番信じている恐怖です。
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最後はメタ落ちで、読後にタイトル一覧へ戻らせる仕掛け。あなたが選んだ1話が、あなたの「怖さの好み」を映す心理テストになっています。※実話は混ざっていませんので、安心してお眠りください。

